「桜園に受かったのも聞いてたけど、お祝いしてやれなくてごめんな」
「うん」
「……てかさ……あんなに取り乱して、美紗に合わす顔なかったってのが正直なとこで」
「うん」
お兄ちゃんのお葬式。
あたしもいっぱいいっぱいだったけど、蒼くんの憔悴も相当のものだったと記憶してる。
出棺のときも。
お兄ちゃんの名前を叫んで、棺から離れなくて……友達がそんな蒼くんを支えていた。
お兄ちゃんの前ではずっと明るく振る舞っていた蒼くんとは、まるで別人みたいに。
『遥輝ーーーーーっ……』
今でもそのときの声を思い出すと、胸の奥が痛くなる。
「美紗、さっきから"うん"しか言わねえな。俺、なかなかに恥ずかしいことカミングアウトしてんだけど」
蒼くんが笑う。