「じゃあ消すよ」
久我くんが美術室の明かりを消すと、一気に辺りが暗くなった。
校舎の灯りもほとんど消えていて、不気味な空気が漂っている。
夜の校舎って、理由もなく怖いけど。
今日は不思議と怖くない。
久我くんが一緒にいてくれるおかげかな。
「暗いから足元気をつけて」
「うん、ありがとう」
さりげなく優しい久我くん。
声は決して優しくはないのに、心がくすぐられるのはどうしてだろう。
そういうことをしなさそうなギャップ……?
でも、自然に優しさとか男らしさを出せるって素敵。
いかにもって感じじゃないところに好感がもてる。
久我くんとつき合う女の子は、すごく大切にしてもらえるんだろうなぁ。
並んで階段を下りながら、あたしなりに人間観察。



