ちょっと残念だと思ったあたしの耳に届いたのは。
「じゃあ、駅まで送ってく」
「へ?」
じゃあ……って。
今、逆方向なのを確認したよね?
「もう外暗いから、女子の1人歩きなんて物騒だし」
チラッと横目であたしを見る。
突然注がれた流し目に、ドキッとした。
「男がいるのといないのじゃ違うだろ」
口先だけで放つのは、照れ隠しにも聞こえた。
やだ。
心臓がドキドキする。
だって、男の子に女の子扱いされるなんてはじめてで。
それに、久我くんがそんなこと言う人だと思ってなくて。
なんて言ったらいいのかわからず、ただドキドキしていると。
そんな空気を壊すかのように、久我くんがふっと笑って言う。



