それから、たまにだけど蒼くんと校内で遭遇することが何度があった。

そのたびに「よっ、美紗!」って必ず声をかけてくれるんだ。


校内でもモテモテであろう蒼くんが、一瞬でも自分の特別になったような気がして幸せな瞬間。


こんな毎日が続いたらいいな……。






「美紗ってさ、蒼先輩のことが好きだったりするの?」


「えっ、ひゃあっ……」



ある日の休み時間。

伊織ちゃんに突然そんなことを言い当てられ、自分じゃないみたいな声が出ちゃう。



「ふふふ、美紗ってば分かりやすいね」


「……」



しかも、それが返事だって解釈されちゃって。


ううううううう。

伊織ちゃんにはかなわないや。


蒼くんと接してるときのあたし、きっと恋する乙女全開だったんだろうなぁ。