「そうだ、美紗、手、出して」
おもむろに言う久我くん。
手……なんで……?
その意味を視線で求めるあたしに。
「いいから」
意味ありげに言って、自分のポケットから何かを取り出す。
なんだろう……。
恐る恐る手を差し出すと。
あたしの手の中にそれをポトン、と優しく落とした。
とても、軽いものだった。
久我くんの手が離れて見えたそれに。
「……っ……」
一瞬、ときがとまったように目を見張って。
次の瞬間、また新たな涙があふれてきた。
「これは……」
小さいころからなじみのある、大好きな桃のキャンディー。
いつもこれをあたしにくれていたのは……。
はっ、として久我くんを見つめる。



