「……っ」
やだ。あたしニヤケてなかったかな……!?
そうじゃなくても、ぜったい顔は赤いはず。
蒼くんと会話したから興奮して、体がほかほかだもん。
気まずくて、不自然に視線を逸らすと。
「今のカッコいい先輩、誰?」
伊織ちゃんがあたしの袖を掴んで、小さく揺らしてきた。
「まさか伊織、惚れちゃったー?」
それを見逃さなかった工藤くんが、からかう。
「えっ、そんなことないけど……でも普通にカッコよすぎない?」
やっぱり。
伊織ちゃんがそんなこと言うのは珍しいけど、それくらい蒼くんはカッコいいんだよね。
「まあ、蒼先輩はハンパなくカッコいいよな。バスケも超うまいし、俺が女なら間違いなく惚れてるな」
蒼くんのカッコよさは男の子からも見ても同じみたい。
自分が褒められてるみたいに誇らしくなる。