なんでこんなに早く……。



「……これ、入ってたから」



確かにあたしが入れたメモを掲げる久我くんのシャツにはシワが寄っていて、今着替えてきたばかりなんだということが窺える。

相変わらずクセのない髪の毛は、サラサラと爽やかになびいていた。



「えと、まだ、部活中じゃ……」



ちゃんと見てもらえたんだとか、来てくれてよかったとか、安心する余裕もない。


自分で呼び出したのに、どうしてここにいるのか理解できないくらいに。



「あぁ……早退したから」



……早退。


言いそうもないセリフをさらっと言ってのけるけど、久我くんが、好きこのんで早退なんてするわけないのをあたしは知っている。


部活でも、いつもと様子がちがうとみられていた久我くんは。


いよいよ早退までするほどの異常事態に陥っているんだ。