あたしはそのまま屋上へ向かった。


いつか見たここからの景色は、時間帯が違うことから少し違って見える。


まだ日は高いけれど、もうすぐ1日が終わりを告げる……少しもの悲しく、哀愁が漂っていた。


きっとお兄ちゃんも、この反対の景色を何日も何日も見てきたんだろう……。


時刻は5時。久我くんが部活を終えるまで1時間半。


長いようで、あっという間なはず。


今は緊張から来るドキドキで落ち着かない。


心臓から口が飛び出そう。


なにから喋ろうか頭を整理しようとするけど、気が散漫になって集中して考えられない。


落ち着け落ち着け……と言い聞かせながら、見下ろした先にいる人たちを目で追っていると。



ーーーーキィィィ


鉄の扉が開いた音がして、心臓がはねた。