翌日。


夕方4時半を過ぎると、校舎内はある程度静けさを保ち始めた。


帰宅部の生徒は家路へ、部活動をしている生徒はそれぞれ活動場所へと移動したからだ。


それを見計らって、あたしはひとりで昇降口へ向かう。


辺りに誰もいないのを確認して、久我くんの靴箱にメモを忍ばせた。


【部活が終わったら、屋上へ来てください】


そう記して。



伊織ちゃんに励まされて。


蒼くんと陽菜ちゃんの笑顔に背中を押されて。


久我くんと向き合う勇気が持てたんだ……。



きちんと久我くんと話をするには、ある程度の時間と静かな場所が必要。


休み時間にサッと話せる内容でもない。


いろいろ考えた結果、以前久我くんが連れて行ってくれた屋上が思いついたんだ。


来てくれる保証もないけど、久我くんはきっと来てくれる……ただそれだけを信じて。