券売機の前で友達数人と戯れているその姿をぼんやり眺める。
変わってないなぁ、蒼くん。
どこへ行ってもいつも友達に囲まれているのは、蒼くんの人柄なんだろう。
中学の時も、同級生はもちろん下級生からも大人気だった。
男の子からも女の子からも。
あたしに友達はいないくせに、いつも蒼くんがあたしを心配して教室まで来てくれるものだから。
それがまた女の子たちは面白くないらしく、陰口をたたかれていたのは知っている。
でも、あたしはめげなかった。
蒼くんの優しさがあったから、あたしはなんとかやって来れたんだ……。
いつもありがとう、蒼くん……。
ずっと見つめていたかったけど、そのうち柱の陰に隠れてしまって。
残念だなぁ……なんて思いながら視線を戻すと。
真正面に座る久我くんと目が合う。
真顔で、あたしをジッと見つめていた。



