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しばらく呼び起こしていなかった遥輝君との思い出が、ものすごいスピードで頭の中で再生されていた。
玄関に崩れ落ちたままの俺。
フローリングの冷たさが、俺を現実に戻す。
「こんなことってあるのかよっ……」
遥輝君が……美紗のお兄さんだったなんて夢にも思わなかった。
だけど、よく考えればわかったことだったかもしれない。
美紗が高校1年生で。
去年お兄さんを病気で亡くしてて。
あの大学病院に入院してて。
ヒントはたくさんあった。
なのに、どうして気づかなかったんだよ……!
俺が美紗に初めて会った気がしなかったのは、遥輝君と雰囲気がよく似ていたせいだ。
大好きな妹だと、いつも自慢げに聞かされたその相手だったからだ。
放っておけない……気になる……そう思ったのは、全部、全部、遥輝君へ繋がっていたから……。



