やがて秋も深まり冬が来て。 年が明けて春が来ても、遥輝君に会うことはなかった。 そのうち、会えない事実が怖くて、南棟に足を踏み入れることもなくなった。 ましてや、遥輝君の病室を探すなんてことはもっとできなかった。 絶対に生きている。 そう信じるだけで現実を知りたくなかったんだ。 あの日交わした会話が最後だなんて、思いたくなかったから。 別れの挨拶だったなんて、絶対に嫌だから。 結局、いつまで経っても、遥輝君には会えることはなかった。