「ありがとう」
俺の想いをどこまで感じたのかわからないが、遥輝君は、優しく笑った。
そして、自分の乗っている車いすを指さす。
「ごめん、これ押してもらえる?」
「えっ……?……ああ」
車いすの移動を俺に頼んだのは初めてのことで、さらに動揺した。
言われるがまま俺は取っ手に手をかけ、それを押していつものようにテラスへと出た。
よく晴れた空。風は少し強く冷たい。
「俺、凛太朗のこと、大好きだよ」
「っ……」
やっぱり何かがちがう。今日の遥輝君は、どこか変だ。
そう思った直後だった。
「俺、もうダメみたいだ」
あまりに唐突に告げられたそれを理解するには、時間が足りなかった。
空には秋らしいうろこ雲。
どうりで風も冷たくなるはずだ……なんてどうでもいいことが頭に浮かんだ。



