「おーっす、なに食ってんのー?」
……っ!
……蒼くんの声だ……。
緊張で、思わず目をギュッとつむる。
「今日のランチのから揚げ定食です。ボリューム満点っすよ」
「へー、うまそ」
「おばちゃん褒めたら、から揚げ一個オマケしてくれましたよ~」
「お前口がうまいからなー」
なんて、蒼くんは工藤くんと他愛もない会話を交わす。
その目の前で、あたしは顔をあげられない。
だって、蒼くんがすぐ隣にいる……。
好きな人が、こんな近くに……。
それでも、蒼くんの顔が見たくて恐る恐る顔をあげた瞬間。
ふ、と。顔をこっちに向けた蒼くんと目が合ってしまった。



