俺なら、この子と一緒に病院内を探すことは可能だ。
「……ほんとに?」
ぬいぐるみに顔をうずめながら、警戒心を隠さない女の子。
母親とはぐれてしまったのだから当たり前だろうが、とても不安そうな顔をしていた。
「ほんとだよ」
俺がもう一度言うと、女の子はぱあっと明るい笑顔になる。
母親だって捜しているだろうし、すぐに見つかるはずだ。
そのときだった。
「カナ、ここに居たのか」
父親だろうか。
背の高い若い男性が、女の子の名前を呼びながらここへ入ってきた。
「ひとりで行ったら迷子になるだろ?」
捜し回っていたらしい。疲れた様子でこちらへ近づいてくる。
良かった。母親じゃなくても家族に会えたのならもう大丈夫だろう。
ホッとして顔が緩んだ俺とは対照的に、女の子はまた険しい顔になる。
そして、父親から隠れるように俺と遥輝君の後ろへ回りこんだのだ。



