君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



落ちたクマの隣で車いすを止め。


身をかがめてクマを拾い上げると、また車いすを動かして女の子のそばへ行き、ぬいぐるみを手渡した。



「これ落ちたよ。ママを捜してるの?」



ぎゅっとそれを抱きしめ、うなずく女の子。


俺も一足遅れてそばへ寄った。


車いすなのに、こんなときにサッと行動できる遥輝君。


さすが妹もいるし、面倒見が良さそうなのはわかっていたが、とても自然にふるまうその姿にさすが兄という立ち位置を痛感する。


って、感心している場合じゃない。


今のは、体の自由のきく俺がするべきだったんじゃないかと、バツが悪くて体が熱くなる。


俺は咄嗟に女の子の前で、目線の高さを合わせるようにしゃがんだ。



「お兄ちゃんが一緒にママを捜してあげるよ」



自分のことを「お兄ちゃん」なんて呼ぶのは初めてだし恥ずかしい気持ちもあったが、目の前で遥輝君の行動を見て、次は自分が何かをしなければと掻き立てられたのだ。