てっきりそうなのかと思ったから少しがっかりする。
でも、あくまで遥輝君は前向きらしい。
「いまはそうでも、これから頑張るし!」
左手で力強くガッツポーズを作る。
「応援してるよ!」
彼女との関係もわからないくせに、遥輝君の目の輝きに俺の方まで不思議な自信が湧いたとき。
「ママー!」
小さな女の子が、談話スペースに入ってきた。
クマのぬいぐるみを大事そうに抱いて。
ここで穏やかな時間を過ごしている人々の視線は、一斉に女の子に向けられる。
「ママ、ママー」
迷子になってしまったんだろうか。
幼稚園生くらいのその女の子は、パタパタと走りまわる。
そのうち、女の子の手からクマのぬいぐるみが落ちてしまった。
あっ、と思った時には、遥輝君が車いすを動かしていた。



