よっぽど家族のことが好きで大切なんだろうと、うらやましく思った。


俺だって別に家族のことは嫌いではないが、人に話すほどのネタがあるわけでも相手が面白いと思えるものもないから。



遥輝君は誰とでもすぐに仲良くなれるタイプらしい。


ここにいる患者さんやその家族の人たちとも、何気なく会話を交わしてみたり。


俺は話しかけられないのに、遥輝君はなぜが話しかけられることが多かった。


"なぜか"、じゃないな。


誰だって"人"を見るんだろう。


遥輝君は、明らかに親しみやすいオーラが出てるのだから。


俺だって、そんな遥輝君がいっぺんに好きになったんだ。



次いつ会おうなんて約束するわけじゃない。


連絡先も交換してない。


ばあちゃんの見舞いに行って、南棟でたまたま会えたら話す、そんな関係だった。