「おー、うまいうまい」
「でしょー?」
でも、ふたりは幼なじみだもんね。
きっと兄妹のように仲がいいんだな。
同じスプーンとか、今更そんなこと気にならないんだ。
そんな光景を微笑ましく見ていると。
「あ、蒼先輩だ……」
なにかを見つけた工藤くんが口走った言葉に、胸がドクンと音を立てた。
蒼……って、蒼くんのこと……?
学食にいるの!?
とたんにあたしは落ち着かなくなる。
同じ校内に居るんだし、いつかは会うとは思っていたけど、突然訪れたそれに心の準備が出来ない。
すると、工藤くんと久我くんがすっと席を立った。
「蒼先輩、こんにちは!」
「こんにちは」
……すぐそこに蒼くんがいるんだ。
そう思ったら、鼓動が一気に加速する。



