君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



―――それが、遥輝君との出会いだった。



車いすの扱いがわかるわけじゃないか、ふたりでどうにか操作したら車いすは動いた。



「ありがとうございます。助かりました」



笑顔でお礼を言う彼の頭には毛糸の帽子。


直感した。


彼は、薬の副作用で髪の毛が抜けてしまっているのかもしれない、と。


自分と対比した姿に、なんとなくすぐに目をそらしてしまう。


彼は車いすを動かすと、そのまま談話スペースに入っていった。


俺は……入るのをためらってしまった。


今入ったら、彼とここでふたりきりになる。


なんとなく、それを本能で避けたいと思ってしまったからだ。


元気な自分と、病気の彼。


どこかで、彼を気の毒に思ってしまい。


なんの病気かわからないが、彼だって、健康な俺がのうのうとこんなところで本を読んでいるのを面白く思わないだろう。