「風邪はひいてないかい?ご飯はしっかり食べてるかい?学校へ出すプリントは大丈夫かい?」
するすると器用にリンゴをむきながら口から出るのは、相変わらずな言葉。
「ふっ」
思わず笑ってしまった。
人の心配ばっかりして。
でもまあ、母さんの生きがいが仕事なら、ばあちゃんは俺に世話を焼くのが生きがいみたいなもんだからな。
ばあちゃんに育ててもらったおかげで、体は十分すぎるほど丈夫だ。
手作りの味噌を使った味噌汁に、和食中心のおかず。
小さいころから水代わりに牛乳を飲まされ、おやつには小魚や豆を与えられた。
こんな年寄りみたいなおやつなんて嫌だと思ったこともあったが、いまではそれがもう当たり前で、学校帰りに寄るコンビニでは小魚チップスを買ったりしている。
中1ですでに170センチある俺は、バスケをやるにはかなり有利だろう。
ばあちゃんには、感謝だ。



