君が泣いたら、俺が守ってあげるから。




***



「ばあちゃんが入院?」



それは突然だった。


俺の家族構成は、両親、母方の祖母、俺の4人。


両親は共働きで忙しく、事実上ばあちゃんがこの家の主婦だ。


そんなばあちゃんが、家の階段を踏みはずし、足を骨折してしまったというのだ。



「そうなのよ。困ったわ」



家事をはじめ、俺のことも一手に引き受けていたばあちゃんが入院となり、家の機能はストップしてしまった。


ばあちゃんに頼りっぱなしだった母さんも、さすがに困っているようだ。



「どうしようかしら……お手伝いさんにでも来てもらう?」



そこで、仕事を軽減する発想に至るなんて期待は、もうずいぶん昔にやめた。


だが、それが悪いとも思ってない。


働くことで生き生きしている母さんは嫌いではなかったし。


家にずっといて家事をしている母さんなんて想像もつかない。