* . * 美紗の家から、どうやって帰ってきたか記憶がないくらい、俺は混乱していた。 家に入ってすぐ、電気もつけずに玄関にしゃがみ込む。 いったい……何がどうなってんだよ。 美紗のお兄さんに手を合わせようとして。 遺影を見た瞬間、時がとまった気がした。 何がどうなっているのか、息の仕方さえ、わからなくなった。 なぜなら、俺はその人を知っていたからだ。 ―――彼に出会ったのは、俺が中1の冬だった。