君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



入学したてのころ、学食で一緒に昼飯を食べることになった時は、ひそかに緊張していた。


でも、すぐに蒼先輩に好意を持っているんだろうとわかり、なんだか面白くないと思った自分にも戸惑った。



なんの縁なのか、美紗とは接する機会が多かった。


委員会に、クラスの席。


特別な理由をつけなくても、話す機会は自然と増え。


その気持ちが、好きと自覚するまではあっという間だった気がする。


受験の日に話したことを美紗は俺のことをまったく覚えていないようだったが、出来ればあのハンカチは返してほしかった。


理由は……俺のものじゃないからだ。


一度はあきらめていたものの、美紗に再会したことで、ハンカチを返してもらおうと、口に出しかけたこともある。


それでも、覚えていない様子の美紗にはなんとなく言えないままでいたんだ。