君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



久我くんがそう言った途端、工藤くんの目つきが変わった。



「ざけんなよっ!?俺はそう呼ばれるのが世界でいっちばんキライなんだよ!」


「女の子みたいだからだよね?」



そう付け加えた伊織ちゃんに、工藤くんは腕を組みながらプイッとそっぽを向いてしまった。



あれ?大丈夫?怒っちゃった……?


そんなあたしの心配をよそに、ふふふと笑っている伊織ちゃんをみると、本気で怒ってるわけじゃなさそう。


よくあることなのかも。



「ほーら」


「わーやめろー!セットが崩れるー」



伊織ちゃんが、まだ拗ねてる工藤くんの髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。


ほんと、きょうだいみたい。

というより、じゃれ合ってる犬?



「ふふふ」



どっちにしてもすごく面白くて、気付けば笑いがこみ上げていた。


今までひとりぼっちだったあたしが、こんな輪の中に入れているなんて信じられない。


伊織ちゃんたちのおかげで、楽しい高校生活を送れそう。