【久我side】
―――遡ること、約半年前。
それは、高校受験の日のこと。
「うわっ、雪降ってきたじゃん」
「予報より早くね?」
「どうりで寒いわけだ」
友人たちがそう言って騒ぐ空を見上げれば、一面グレイのそこからは白いものが舞ってきていた。
それは粉雪。
乾いたアスファルトの上には、すでに新雪がうっすら積もり始めている。
今日受験した桜園高校は、第一志望校。
県内の私立の中でも学力レベルはトップクラス。
文武両道の桜園高校は、中学でバスケを始めたころから憧れていた高校だ。
3年生になってからは部活と塾を両立させて、引退後は必死に受験勉強をしてきた。
やれることはすべてやった。
あとは神頼みだな。
それにしても、こんな日に雪が降るなんて……ツイてない。
コートの襟もとに顔をうずめるようにし、まっさらな白に一歩足を踏み出して。
「あ……」