「青いハンカチ……。ああ、遥輝の?」


「え?そうじゃなくて、あたしの部屋に置いてあったものなんだけど」


「だから、遥輝のでしょう?」


「ううん、ちがうの。あたしが久我くんに借りたものなの」



青いと言ったからお兄ちゃんのものだと思ったのか「遥輝の」と連呼するお母さんに説明する。


どこのブランドのもので、とその特徴も伝えると。



「だからそれでしょう?ずっとないと思ってたの。今日美紗の部屋を掃除してたら出てきたから洗濯が必要かと思って……ちょっと待ってて」



いったん脱衣所に向かったお母さん。


バタン、と洗濯機を開け閉めする音が聞こえたあと、戻ってきた手の中にあったのは。



「これよね?」



やっぱり久我くんから借りたハンカチだった。