君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



あたしはしばらく、その場に呆然と立ち尽くしていた。


いったい、どうしたんだろう?


腑に落ちないまま家に入り、さっきまで久我くんがいた和室に足を踏み入れる。


ぐるりと部屋の中を見渡してみても、変化なんてないし答えはわからない。



「久我くん帰ったの?」



そこへ、お母さんが顔をのぞかせた。



「うん……」



状況が把握できないまま、お母さんに訊ねられてそう答えるので精いっぱい。



「どうしたの?難しい顔して」


「えっと……」



なにをどう説明していいかもわからず、首をひねるだけ。



「……そうだ。お母さん……あたしの部屋で、青いハンカチ見なかった?」



どこかへ消えてしまった久我くんのハンカチ。


もしかして、お母さんが見つけてどこかへやってしまった可能性もあると思って。