「……ほんとは受験どころじゃなかったけど、お兄ちゃんの行きたかった高校だから……って。それで……終わって気が緩んだら、お兄ちゃんのこといろいろ考えちゃって」
「大変な時に受験だったんだもんな。よく頑張ったよ」
「……久我くんて、ほんとに優しいね」
心からそう思った。
「普通出来ないよ。あの場面でハンカチを差し出してくれるなんて」
あたしならきっとできない。
誰かもわからない人に。
その時だけじゃない。
入学してから、久我くんにはたくさん助けてもらった。優しさをもらった。
今は当たり前のようにそばにある優しさに改めて感謝していると、真面目な声が聞こえてきた。
「美紗だからだよ」
「……っ」
柔らかく放った彼のその言葉は、あたしの体中を駆け巡り刺激した。
久我くんがどういうつもりで言ったのかわからないけど、あたしの体に電流が走るほどの刺激をもたらすのはたやすかった。



