「やっぱり美紗は気づいてなかったんだ」
「ごめんっ……あのときあたし、涙でよく見えてなくて……どうしよう」
ああ…ほんとに…どうしたらいいんだろう。
「だよな……。俺は同じクラスになってすぐわかったけど、美紗は全く覚えてなさそうだったから何となく言いにくくて」
「……ごめんね……あたし……今まで何も知らずに過ごしてきて、やだ、どうしよう……」
「べつにどうもしなくて大丈夫だから」
どうしようを連呼するあたしを、久我くんが笑う。
「でも……」
「あんときは、よっぽど試験の出来が悪くて泣いてんのかと思ったけど……。今ならわかる。……美紗……お兄さんのこと、考えてたんだろ?」
そう言って、優しくあたしの髪に触れた。
まるで、小さい子をあやすように。
その仕草に癒され導かれるように、あたしは頷いた。



