「実は……受験の日にね、学ランの男の子にハンカチを借りたの……。顔とか名前とか全然わからなくて、手掛かりは学ランってことだけで。東山中が学ランって最近わかって……」
「ふーん」
鼻から抜けるような声に、大して興味もなさそうだと感じる。
少し気持ちが萎えてしまったけど、せっかくなんだから聞かなきゃと自分を奮い立たせた。
「あの、久我くんのお友達に、そんなエピソード持ってる人……いたりしないかなあ……」
おどおどしながら口にすると。
「知ってるよ、俺」
―――ドクンッ。
知ってる?
久我くん、知ってるの?
びっくりして、足が止まった。
すると久我くんも足を止めて衝撃な言葉を放った。
「だってそれ、俺だから」
「……」
「美紗にハンカチ渡したの、俺」



