静かになった隣を見ると、照れているのかうつむいていた。
こんなストレートな表現。
自分でも恥ずかしいことを言っている自覚はあるけど、伝えたくて。
あのときひとりだったら、ボロボロになっていたかもしれない。
そばにいてくれることが、どれだけ心強かったか。
「久我くんは風邪ひかなった?」
あたしが泣いている間、ずっとあたしに傘を傾けてくれていた。
久我くんだって相当雨に打たれたはずだから心配だ。
「バスケ部なめんなよ?雨ん中でもダテに走ってねえし」
「そ、そっか。なら良かった」
男の子は逞しいな。
それから、あの雨の日と同じように一緒に電車に乗った。
ちょうど帰宅ラッシュと重なったため、車内はとても混んでいた。



