「久我くん!?」
「凛太朗!?」
あたしと蒼くんの声が重なる。
いったい、いつからいたの……?
驚いているあたしの隣に並んだ久我くんは、蒼くんをまっすぐ見据えて言った。
「蒼先輩、いいかげん遠慮してくださいよ」
蒼くんは、数秒間あっけにとられたように固まったあと。
「ああ……そっか」
頭に手を当てながらつぶやいた。
遠慮……?
そっか……って?
突然の登場に混乱している中、わけのわからないやり取りをされて。
まだ頭がハテナ状態のあたしに。
「じゃあ、気を付けて帰れよ」
蒼くんは軽く微笑んで、教室を出て行った。