「……」



下を向いて、唇をかんだ。



蒼くんは、あたしの態度を見て何を思ったんだろう……。


それでも傘を届けてくれた蒼くんは、やっぱり優しい。


なのに、なんで……。



「蒼くんね……陽菜ちゃんと付き合ってるんだよ……」



布団の 水玉模様を目に映しながら口にした。


きっと、お姉ちゃんならあたしと想いを共有してもらえる。そう信じて。


しばらく待ってもお姉ちゃんは無反応。


びっくりして言葉も出ない?


そう思って顔を上げると、お姉ちゃんは切なげな瞳であたしを見ていた。



「え……」



驚かないのを不思議に思った。


きっと、お姉ちゃんが見せると思ったような表情を、きっと今あたしはしている。



「もしかして、知って……たの?」



だって、まるでそんな表情だから。



「うん」



お姉ちゃんは優しく微笑んだ。