「失礼します……」
トレーがぶつからないように控えめにテーブルの上に置くと、彼は無言のまま、自分のトレーを少し引いてくれた。
メニューは、工藤くんと同じ唐揚げランチにご飯は大盛り。
さすが男の子。
食べる量がすごいなぁ。
「彼、工藤絢斗くん。同じクラスだし知ってるよね?」
「うん」
伊織ちゃんにふられ、あたしは頷いた。
明るくてクラスでも目立っているから、一番最初に名前を覚えた男の子だもん。
中世的な顔立ちの彼は、耳の横の髪をヘアピンで留めていて。
シャツのボタンの開け方、ネクタイの締め方を見ても、普段からオシャレな人なんだろうなぁ。
「絢斗とあたしは家が近所で、幼なじみなの」
「わぁ、そうなんだ!」
そういうの、すごく憧れる。