「なんでっ……」
「何があったんだよ」
「陽菜ちゃんっ……お兄ちゃんのことが好きじゃなかったの?」
今まで頭の中で繰り返していた疑問が、口からこぼれる。
「……え?」
「どうしてっ……蒼くんと陽菜ちゃんが付き合ってるのっ……」
「どういうこと?」
「蒼くんだって、お兄ちゃんが陽菜ちゃんを好きなことっ……知ってたのにっ……」
「……」
「なんでふたりがっ……」
「……」
「お兄ちゃんが……かわいそうだよっ……ううっ……うわあああっ……」
ぎゅっ……。
寒さなのか、悲しみなのか、怒りなのか。震える体。
久我くんは、そんなあたしの体をきつく抱きしめる。
「ううっ……」
仲良く傘をさして笑顔で会話するふたりの姿が頭から離れない。



