「ねえ……」
今度は蒼くんへ。
ひとつの傘に入るふたりの顔は、同じような表情をしていた。
とても困ったような顔。
まるで、見られちゃいけないところを見られてしまったかのように。
……それはそうだよね……。
ふたりがつき合ってること、きっと、あたしに一番知られたくなかったんだろうから。
だってあたしは、お兄ちゃんのーーーー妹。
「……っ」
やっぱり、何も聞きたくない。
あたしはなにも言わないふたりの前から、校門に向かって駆け出した。
「美紗っ!」
「美紗ちゃん!」
そのとき、初めてふたりの声が聞こえたけれど、あたしは振り返らなかった。



