「もしもし」
『おー、凛太朗?』
スマホの向こうからは、元気のいい声が聞こえてきた。
工藤くんかな?
耳に付くのか、しかめっ面で少しスマホを耳から遠ざけながら二言三言相槌を打つと、電話を終えた。
「絢斗たち先に行ったみたい。雨でカラオケ集中するかもだから先に受付しとくって」
まだドキドキしているあたしに電話の内容を告げる。
「あ、うん……」
電話が、直前までの会話をなかったことにしてしまったのか。
久我くんは何事もなかったかのように歩き出すから、あたしもそれについていく。
『美紗が行くっていうから』
それって、どういう意味で言ったの……?
久我くんは、何を言いかけたの……?
それに言及できないまま、教室に戻り鞄をとったらすぐに昇降口へ向かった。



