工藤くんに言われ、同じテーブルに座っていた男の子たちは、トレーごとひとづつずれてくれて。

ちょうど、工藤くんの目の前の2席が並びで空いた。



「ありがとう絢斗(アヤト)!」


「おう!」



工藤くんは、唐揚げを頬張りながら元気よく答える。


人懐っこそうな笑顔は、こっちにまで安心感を与えてくれる。

カッコ可愛い系の男の子。



「よかったね。美紗、座ろう」


「うん。……どうもありがとう」



開けてくれた男の子たちにお礼を言うと、みんな食べ物を口へ入れながらぺこりとお辞儀したり軽く手をあげてくれた。



よかった。

ここに座れなかったら、トレーを持ったまま座席難民になるところだったよ。



伊織ちゃんの前は工藤くんで、あたしの前は、ええと……。


クラスの人だから顔は知っているけど、名前が思い出せないや。