「美紗か。悪い」
驚いて顔を上げると、それは久我くんで。
急いでいたのかそれだけ言うと、廊下をまた走って行ってしまった。
わぁ……。びっくりした。
急に飛び出してくるんだもん。
ちょうど今、考えてたとこだったし。
それにしても、身長高いんだなぁ。
あたしの顔の位置がシャツの胸元だったことに、改めて背の高さを痛感する。
あ。くちびる……シャツについてないよね?
色付きリップを塗ってきたところだから、ちょっと心配。
人差し指を唇に乗せて不安を抱いていると。
「ふふふ」
伊織ちゃんが意味深な笑いを浮かべていた。
「な、なにっ?」
「なーんか、いい感じだなぁって」
「えっ!?」
いい感じって?
目をぱちぱちとさせるあたしに。
「凛太朗くん、美紗のこと名前で呼ぶようになったんだねっ」
「それはっ……」



