「ははは、なら良かった」
お父さんも安心したように笑った。
それから、お母さんが用意してくれた朝食を食べて。
ゆっくり家族と会話する暇もなく、あっという間に家を出る時間になる。
「いつも通り落ち着いてやれば大丈夫。美紗の実力なら、きっと大丈夫よ」
お母さんが、優しく抱きしめてくれた。
「ここまで頑張って来たんだから、自分を信じてね」
「そうだぞ。頑張り屋の美紗だもんな」
お姉ちゃんもお父さんも。
「うん、ありがとう。頑張ってくるね!」
みんなの応援をうけて、気合を注入するように胸元にこぶしを作る。
───そして。
「お兄ちゃん、行ってきます」
写真の中の笑顔にそう告げると、家を出た。