ピンとこないその学校名を復唱。


うちの学区にはない学校だ。



「そこ、凛太朗くんの出身中学みたいだよ。絢斗が言ってた」


「ええっ……!」



教室に入る寸前のところで、ピタ、と足が止まる。



「なにそんなに驚いているの?」


「あっ……な、なんでもないっ」



だって。


久我くんの中学が学ランだったなんて。


もしかして……ハンカチの持ち主は久我くんの可能性もある?


そう思ったら急にドキドキしてきたけど。


……なんて、久我くん以外にも受験してる男の子がいるだろうし。


そんなわけないよね。もしそうだったら、言ってくれてるはずだもん。



「おっと!」


「きゃっ……」



すると、教室から飛び出してきた誰かと鉢合わせしそうになった。


白いシャツが目の前に現れて、ドクンッと心臓が跳ね上がる。