"永くない"
それって……。
「この病院に、一緒に住んでるばあちゃんが病気でずっと入院してて、俺よく見舞いに来てるんだ」
「……え、そうなの……?」
だから久我くんはここに……。
胸がぎゅっと痛くなった。
家族が病気入院しているつらさ。
少なくとも、あたしにはわかるから。
「俺さ、ばあちゃんに育てられたんだ」
ポツリ。
久我くんが話しはじめる。
「うちの両親、大学教授やってて忙しくて。物ごころついたときから、遊び相手はいつもばあちゃんだった」
あたしは黙って久我くんの口元を見つめた。
「俺が中学に上がった頃、骨折して入院したのが最初だった。それから、色んなところが悪くなって、年明けからはずっと入院しっぱなしだったんだけど」
そう言って、軽く息を吐いたあと。
「もう、家には帰るのは無理だろうって」
唇をかみしめて、頭を下に落とした。



