「永井こそ。どっか具合悪いのか?」
「ううんっ。ここ、お兄ちゃんが入院してた病院で。知り合いの看護師さんに会いに来たの……」
「あー……そうなんだ。で、自販機見つめて何してんの?」
「あ、このね、桃のジュースを買おうと思ったら、ほら、売り切れで」
売り切れと表示された赤いランプを指さすと。
「また桃……」
久我くんは、どこか呆れたように言う。
うぅ……。そうです。あたしは桃が一番好きなんです。
「ちょっと待ってて」
すると、あたしの返事も聞かずに、久我くんはどこかへ走って行ってしまった。
え、どこ行っちゃったの?
待っててと言われた以上、この場を離れるわけにもいかず大人しく待っていると、しばらくして戻ってきた。
手に何かを持って。



