「それって、誰でもそうだよ?」
「え?」
「初恋が叶う人の方が少ないと思わない?」
「それは……」
「生涯でひとりの人だけを想い続ける人生なんてそうそうないの。きっと失恋したばかりのころは、次の恋なんて絶対にムリって思うかもしれない。でも、一度恋をしたことがある人は、恋の仕方を知ってるから。別のだれかと同じ時を過ごしていくうちに、恋に変わる瞬間がきっとあって。気づいたら、初恋の人を想い出に変えられているんだと思う」
別の誰か……か。
まだ見ぬ未来。
ほんとにそんな日が来るのかな……。
「美紗ちゃん、可愛いんだから自信もって!」
ね、と肩をたたかれた。
「っ、そんなことっ……」
お世辞だとわかっているけど、照れくさくて五十嵐さんに突っ込みを入れる。
「五十嵐さんの婚約者さんは、初恋の人じゃないんですか?」
今の話を聞けば、きっと初恋の人じゃないように感じるけど……。



