お兄ちゃんが入院していたのは7階。


久々だけど2年半も通った病院、体はしっかり覚えている。


慣れた足取りでエレベータ―ホールまで行き、すぐやってきたその箱へ乗り込む。


でも、今までとひとつだけ違うのは。


……向かう先にお兄ちゃんがいないってこと。



7階に到着し。


ほんの少しの寂しさを胸に持ち合わせながらナースステーションへ向かうと、見慣れた顔がいくつも目に飛び込んできた。


わぁ……懐かしい。


今日も、あの頃と変わらずみんな忙しそうに動いている。


そんな様子を遠目からしばらくうかがっていると。



「あれっ?美紗ちゃん?」



声を掛けてきてくれたのは、まさに会いたかった看護師さんだった。