「今更?」
慌ててスマホで時間を確認するけど、もう授業が始まって30分が経っていた。
「……っ、ごめんね……。久我くんまでつき合わせちゃって」
「構わねえよ。どうせ数学だりぃし」
「でも……。それに、ここ入っていいの?」
今更だけど、自分がいまいる場所を再認識して慌てる。
屋上なんて一般生徒が立ち入る場所じゃない。
「開いてんだから、別にいいだろ」
久我くんはシレっと言うけど。
「屋上っていうと、不良なイメージがあるから……」
「プッ、それいつの時代だよ」
久我くんは口を開けて笑うと、ゆっくり腰をあげた。
そのままフェンスギリギリまで進み、金網に手をかけた。
つられるように、あたしもその後を追う。