……蒼くんが、笑ってる。
それだけで、心がしめつけられた。
だって、あたしの記憶に残る蒼くんは、いつも苦しそうな顔ばかりだったから。
しょっちゅうお兄ちゃんの病院に足を運んでくれていた蒼くん。
お兄ちゃんの前では笑顔を見せていたものの、病室を出ると、何かに耐えるような表情をいつもしていた。
だから。今。
思いっきり笑顔でプレーしている蒼くんを見て、胸が熱くなった。
お兄ちゃんが病気になったあと、親友が病気なのに部活なんてやっていられないと、蒼くんはバスケをやめてしまっていた。
お兄ちゃんは、それをとても気にしていた。