そんな彼に、あたしの想いを打ち明ける。
「……蒼くんが、どうしてあたしを気にかけてくれるのかわかってた……それが恋愛感情じゃないってことくらい……あたしが一番わかってたの」
自分の恋を清算するように。
「あたし、中学時代友達がいなくて……その時からずっと蒼くんは、あたしを守ってくれてた。きっと、お兄ちゃんの代わりに……そんな風に思ってたんだと思う。そんな蒼くんに、あたしは甘えてたんだよね」
『いつまでも蒼くんに甘えてばかりいたら良くないと思うの』
お姉ちゃんが言ってたのは間違いじゃなかった。
「でも、これで良かったんだ……。そうじゃなきゃ、いつまでもあたしは蒼くんに甘えてた」
話している間、久我くんは黙って聞いてくれていた。
蒼くんを好きだった5年間、間違いなくあたしは幸せだった。
蒼くんは、あたしのすべてだった。
蒼くんがいたから、こんなあたしでも毎日が輝いて見えた。
ぜんぶ、蒼くんのおかげ。
そよそよと吹く風が、濡れた頬を乾かしていく。



