君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



止まらない嗚咽。

震える肩。


隠すことなく、あたしは感情をあらわにした。



「うわっ……ううっ…………」



右手で口を覆い。


5年分の蒼くんへの想いを吐き出すように。


好きだった。


ほんとうに、好きだった……。


だけどもう、諦めなきゃいけないね。


それは蒼くんを、困らせるだけだから……。



泣いている間、久我くんはあたしの左手首をずっと握っていてくれた。





「ごめんね……みっともないとこと見せちゃって」



泣きすぎて疲れ果てたあたしは、屋上の段差に久我くんと並んで腰を下ろした。


足はガクガクしているし、顔だってきっとぐちゃぐちゃだし……恥ずかしい。



「べつに。みっともなくなんかねえよ」



久我くんはまっすぐ前を見たままサラッと言い放つ。


その横顔は、いつにも増して凛々しく見えた。